【完】君色フォトグラフ
ドキンッ!



私の心臓は、今までにないくらいに大きく跳ねた。


そんな真剣な目で見られたら私・・・・・・。


「こここ!こっちです!」


私は目をそらして、自分の写真が貼ってある壁へと和由君を案内した。


「こここ!って鶏かよ」

ダメだ。

恥ずかしすぎて、しばらく顔は上げられそうもない。


「へえ・・・これか。気持ち悪いくらい、姉ちゃんしかいねえな」


「気・・・持ち悪い、なんて・・・・・・」


ひどい・・・って口から出そうになったその時だ。


「だけど、すげえいい。大槻の写真、俺好き」


和由君は私の写真を見つめながら、固まっている私の頭をくしゃくしゃと撫でた。


撫でられているところから、私のドキドキが伝わってしまうんじゃないか。


私の心臓は限界寸前だった。



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