【完】君色フォトグラフ
「・・・・・・」


そいつは、下を俯く私をじっと見ていたのかもしれない。

少しの沈黙が続いた後、



ガラガラ




そいつは柚さんがいる扉の向こうへと、姿を消してしまった。



私はその場に立ちつくしていた。




ポロポロ・・・・・・




自然と涙がこぼれた。


せっかくここまで走ってきたのに。

あいつのせいで私の心は、あっという間にポッキリと折れてしまった。


教室に入って、今すぐ柚さんの元へと行きたいのに・・・・・・。


せっかく変われるって思ったのに。


「ねえ、あなた?どうしたの?」


私はその時、横から声をかけられた。

知らぬ間に人がいたことに驚き、私の体は、ビクっと大きく揺れた。


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