【完】君色フォトグラフ
「ごめんね。驚かせちゃった?」


落ち着いた声。

その人は黒のスーツを着ていて、髪の毛を一本に結わえていた。

優しく微笑む目尻には少しだけシワが見えたけど、年をとっているようには見えなかった。


先生・・・かな?


「あの、今時間あるかな?」


「・・・・・・」


私は少し戸惑ったけど、コクンと首を縦に動かした。

きっとその人の笑顔がとても暖かかったからかもしれない。


「そう。じゃあ一緒に来て」


その人は私の手を優しく握った。



その人に連れられて、ある教室までやってきた。

3階の一番奥にある部屋。


「写真部?」


私は思わず、教室の名前を呟いた。

その人は、後ろを振り向き私の顔を見て微笑むと、教室の扉をガラリとあけた。


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