【完】君色フォトグラフ
写真が消えたとき、ふと深山先生の言葉を思い出した。


私は深山先生の空の写真を見つめた。


「そういえば、深山先生はこの写真を好きな人の代わりって言ってたな」


あの時は深山先生の気持ちがよく分からなかったけど、今なら少し分かるような気がする。


「深山先生、代わりなんて・・・そんなの絶対に辛いよ」


ポツンと呟いた自分の言葉が、静まりかえった部室にカランと響く。



その時、部室のドアが静かに開いた。




カラカラカラ・・・・・・




「りんりん。やっぱりここにいた!」


「え?ハル君?」


涙を慌てて拭き取り、パソコンの画面を消した。


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