【完】君色フォトグラフ
眼鏡を外してもハル君の顔はハッキリと見えた。

とても近くにいたから・・・・・・。


ハル君は自分の袖口で、私の涙を拭った。


「りんりん、俺の顔ちゃんと見るようになったね。前はよくそらしてたのに」


「・・・・・・うん。慣れたって言ったら変だけど。そうかも」


「そっか」


ハル君はしばらく私の顔をじっと見つめ、そして次の瞬間




チュ




私の唇に軽くキスをした。


「じゃあ、これからはもっとりんりんにくっついちゃうから、慣れてね」


ハル君は、真っ赤な顔をして固まる私を見て、無邪気に笑った。











この時から・・・この時から私たちはすれ違ってしまっていたんだね。


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