【完】君色フォトグラフ
「こんな、表情もするんだね・・・・・・」







やっぱり私は和由君が好き。

ごめんね、ハル君・・・・・・。






試合は1対2で土根高校の勝利。

東実高校野球部は惜しくも敗れた。


誰もいなくなった観客席。

私は階段をトボトボと降りた。


「あ・・・・・・」


階段を降りたところにいたのは、自転車にまたがったハル君と和由君の姿だった。


「りんりん、まだいたんだ!一緒に帰る?」


「え?あの・・・・・・」


「じゃ、俺先に帰るから」


そう言って和由君は自転車を走らせ去っていった。


和由君の背中を見送りながら、私は肩にかけていたカメラをキュっと自分の体に引き寄せた。


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