婚約者☆未満
なによ、セクハラ男のくせに!
あたしはわざとスルーしてやったけど、伊織は気にもとめない様子で智代っちに話しかけた。
「お嬢様は5時まで、ということになってるから、連れて行くよ。
あとはよろしく」
「はい、かしこまりました。
お嬢様、お疲れ様でした」
智代っちは伊織に丁寧にまたお辞儀し、私にも微笑みかけてくれた。
あたしは自分も残業すると言おうと口を開いた。
しかし、伊織に腕をつかまれ、強引に倉庫から連れ出されてしまった。
「ちょ、ちょっと、放してよ!
痛いじゃない!」