婚約者☆未満

あたしを連れて帰って来いですって!?


あたしの意思は?


それに……


「あなたは、それでいいの?
好きでもない、会ったこともない女の子と結婚しろって言われて、平気だったわけ?」


あたしが険しい顔で問いただすと、伊織はくすっと笑った。


いや、笑い事じゃないでしょ!


あたしが憤ってると、伊織はすました顔で言った。


「俺だって、じいさんの話は適当に聞き流してたさ。
自分の結婚相手くらい自分で見つけるってな。

大野へは単に仕事を覚えるために来ただけで、おまえを連れて帰るなんてことはじいさんにも親父にも約束はしていない」


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