婚約者☆未満
「仮住まい?」
「ああ、言ったろ。
俺は最初から3年で実家に戻る約束で大野に来てるんだ」
「ああ、そっか……」
それにしても、何にもない部屋……
そんなことを思いながらキャロキョロしていると、
「暑いな。
なんか飲むか?」
あたしの顔を見てそう言いながら、伊織がネクタイを緩めていた。
襟元が緩むと、急にオンからオフに切り替わった感じ。
ちょっと、色っぽい。
それに、そんなリラックスした格好を見ると、自分が伊織の部屋にいるんだってことが改めて意識されて、ドキドキしてきた。