婚約者☆未満
伊織は冷蔵庫のドアを閉めて、缶のプルタブを開けた。
またあたしの目の前を通りながら、喉を鳴らしてビールを飲む。
喉仏が上下するのを間近に見て、またドキッとした。
と、リビングに入った伊織があたしを振り返った。
「突っ立ってないで適当に座れ」
そう言われ、あたしはソファに座った。
でも、なんか、落ち着かない。
ぶらぶら歩く伊織から目が離せなかった。
伊織はリビングを横切り、カーテンを開けてベランダに出た。