婚約者☆未満
あたしは着替えと洗面道具を持って、浴室ヘ向かった。
時刻は、8時過ぎ。
廊下からリビングを見ると、伊織はビールを飲みながらパソコンに向かっていた。
真面目な表情でディスプレイを見つめている。
――と、伊織と目が合った。
「なんだ?
なんか足りないものでもあるか?」
こっちを見ると思ってなかったから、目が合ってドキッとした。
「べ、べつに!
シャワー、覗かないでよ!」
あたしが強い口調でそう言うと、伊織は片方の眉を上げた。