婚約者☆未満

伊織はまだ仕事をしていた。


書類を前に腕組みしている。


「ねえ」


あたしが声をかけると、こっちを向いた。


「ベッド、あたしが使っていいの?」


「ああ、押入れに予備の布団がある」


「ふうん……」


あたしは頷きながらもその場に立ち尽くしていた。


「なんだ?」


「いや、居候なのにベッドを使うのは悪いかなって思って……」


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