婚約者☆未満

あたしはデータの「バーニリン」の欄にたしかに新作のピンクのAラインドレスがあることを確認した。


リストの予約日付欄はからだった。


「ほんとだ、合ってる」


あたしは、呆然と貝塚さんと智代っちの顔を見た。


貝塚さんは笑いながら言った。


「今私が聞いた新作ドレスは、先月はじめに安永さんに保管を頼んだんですよ。
彼女は一度自分が携わった商品に関しては、それがいつ使われるか、今どこにあるかといったことを絶対に忘れないんです。
彼女の特技なんですよ」


智代っちは照れくさそうに下を向いていた。


智代っち、すごい……


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