婚約者☆未満
「今日、銀座支店に行って打ち合わせしてきたのもそのこと?」
「ああ、そうだが、よく知ってるな?」
伊織が怪訝な顔をした。
「行き先ボードにそう書いてあったから」
「ああ……」
あたしがそう言うと、伊織は納得したように頷いた。
「昨夜、フェアのブースに展示するドレスや小物の配置を確認してたんだが、銀座支店の案と本店の案との折り合いがうまくつかなくてな……ってこんな話してもつまらないよな?」
伊織に聞かれ、あたしは首を振った。
「そんなことないよ」