婚約者☆未満
しかし、伊織は話題を変えた。
「ところで、貝塚さんから金曜までに間に合いそうだって報告を受けた。
おまえがやり方を変えたおかげだとかって褒めてたぞ」
「ああ……、まあね」
午前中はそのことを自分で自慢しようと思ってたんだけど。
午後、智代っちのすごさを見てしまってからは、もうそんなことはどうでもよくなっていた。
あたしは自分の手に視線を落とした。
あたしはしょせんバイト。
チェックだけすればいいって考えで、それを覚えようなんて気はさらさらなかった。