婚約者☆未満

伊織は突然あたしのおでこに手を当てた。


「熱はなさそうだな……」


あたしは身を引いた。


「なによ、急に」


とがめるように伊織を見ると、伊織はあたしの顔を見つめた。


「昨日からずっと元気ないだろ、おまえ?
何かあったか?」


まっすぐに見つめられ、あたしは視線をそらした。


「べつに……」


「また『べつに』か。
反抗期の中学生じゃないんだから、もうちょっとちゃんと返事しろ」


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