婚約者☆未満
ちょ、ちょっと!
あたしが顔を上げてにらむと、伊織は真剣な表情であたしを見た。
「何があった?」
至近距離で見る伊織の顔は、いつもどおり完璧。
抱きしめられて、目の前に伊織の端正な顔があって、
つい、おとといベッドに押し倒されたときのことを思い出して、ドキドキした。
でも、今日はエッチな感じじゃない。
本気であたしのこと心配してくれてるみたい……
…………
あたしは観念した。
「わかったから放してよ」