婚約者☆未満
静かにそう言うと、伊織はあたしを抱きしめていた腕を緩めた。
そして、あたしをリビングのソファに座らせた。
伊織自身はあたしの前の床にじかに座り込み、あたしを見上げた。
「で?」
伊織に促され、あたしは昨日から感じていたことをポツリポツリ話した。
智代っちのこと。
自分のこと――……
「……――だからね、つまり、あたしにはなんにもとりえがなくて、最低最悪だってこと!」
投げやりにそう言うと、ますます自己嫌悪が募った。
伊織の顔をまともに見られない……