婚約者☆未満

あたしの話を聞いた伊織は、フーッと一つ大きなため息をついた。


伊織、呆れたのかな……


そっと見ると、伊織はあたしの手首をつかんで立ち上がった。


引っぱって連れて行かれたのは洗面所だった。



白い大理石みたいなタイルと白い壁に囲まれた大きな鏡。


その前に伊織はあたしを立たせた。


「見てみろ」


自分はあたしの斜め後ろに立ち、一緒に鏡に向き合った。


大きな鏡には、あたしの上半身が映っている。


訳がわからず、鏡越しに伊織を見た。


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