婚約者☆未満
「何してる?」
「ひゃあっ!」
背後から急に声をかけられて、あたしは飛び上がった。
振り返ると、和室の畳の上に伊織は寝転んでいた。
「びっくりしたぁ」
驚きで鼓動の速くなった胸に手を当ててそう言うと、伊織は眉を寄せた。
「泥棒の真似事か?」
抜き足差し足で歩いてたんだから、そう言われても仕方ない。
「いや、あの、えっと……」
覚悟を決めてきたのに、驚かされた拍子に言うべきセリフが飛んでしまった。