婚約者☆未満
そのとき、伊織がクスクスと笑い出した。
へ?
あたしは気勢をそがれ、呆然と伊織を見つめた。
なんで笑うの?
あたしなんか変なこと言った?
いや、たしかにちょっと、というかかなり変だったかも、だけど……
伊織は笑いながらあたしの頭にポン、と手を乗せた。
あ…………
あたしは緊張で凝り固まった体から、すーっと力が抜けていくのを感じた。
伊織の笑顔と手の温かさ、
なんか、ほっとする……
すると、伊織は笑いを消して、あたしの顔を覗き込んできた。