婚約者☆未満
顔を真っ赤にして、あたしはうつむいた。
照れくさくて、悔しくて、でもちょっとほっとしてもいて……
すごく複雑な心境。
すると、伊織はふわっとあたしを抱きしめてきた。
「安心しろ。
俺は強姦魔じゃない。
おまえが嫌ならしない。
おまえの覚悟ができるまで、そっちも待ってやる」
頭上で響く伊織の声はものすごく優しくて、あたしはおでこを伊織の胸に預けた。
胸が熱くなって、涙があふれた。
伊織は優しくあたしの髪をなでてくれた。
「ごめん……ありがと……」