婚約者☆未満
さっきまでとは打って変わって緊張気味のゆかりと江里花に、あたしは言った。
「実は今日、銀座支店に寄った帰りに家まで送ってくれることになってて……」
あたしはかばんを持つと、自分の分の支払いをテーブルに置いて立ち上がった。
「ごめんね、お先~」
あ然としてるゆかりと江里花に手を振って、伊織と腕を組んで店を出た。
駐車場に止めてある社用車に向かいながら、伊織が尋ねてきた。
「よかったのか、友達置いてきちまって?」
「うん、いいのいいの!」
しかし、ファミレスを振り返ると、ガラス越しに拳を振り上げるゆかりの姿が見えた。
そしてその時、メール着信音が鳴った。