婚約者☆未満

でも、あたしがこんなふうに自分に自信を持てるようになったのは、伊織のおかげだ――




ずっと、一人で森の中をさ迷っているような気がしていた。


どっちに進めばいいのか、全然わからなくて動けなかった。



でも、伊織は言ってくれた。


『待っててやる』って。


そう言って、あたしを抱きしめてくれた。



あの日から、

まだ森の出口は見つからないけど、

でも、振り返れば伊織がそこにいてくれるって安心感が、あたしを前に進ませてくれた。



分かれ道で迷ったら、伊織に相談すればいい。


何か危険が襲い掛かってきたとしても、伊織がいてくれれば大丈夫って、思えるんだ。


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