婚約者☆未満
「あなた、横浜支店の人?」
あたしが問いかけると、その男はまっすぐあたしを見た。
「ええ、そうですが、あなたは?」
男の値踏みするような視線にあたしは一瞬たじろいだ。
なんか、へたに近寄ったら切られそうな鋭い目つき。
すると、あたしが答えるより先にママが言った。
「礼奈よ。うちの娘」
それを聞いた男は、合点がいったというように「ああ」と頷き、微笑んだ。
「あなたが。
お噂はかねがね伺っています」