婚約者☆未満
デスクに座った倉本さんが手を差し出してきた。
「じゃ、もらおうか。
俺に書類を持ってきたんだろ?」
くぅ~、悔しい!
でも、そのとおりだから仕方ない。
あたしは茶封筒を手渡した。
「ご苦労だったな」
半分笑いながら言われ、あたしは怒りと恥ずかしさで顔が熱くなった。
でも、ちゃんとお使いの務めを果たさないと。
「明日届ける予定だった資料が早めに揃ったそうです」
「そうか。
そうとわかっていれば、社長室にも寄ったんだがな」