婚約者☆未満
これには頭にきた。
あたしは唇を奪われながらも、倉本さんを力いっぱい突き飛ばした。
あたしの全力の抵抗は、倉本さんの足元をふらつかせるくらい強烈だった。
よろめきながら、驚いた顔であたしを見ている倉本さんにあたしは声を張り上げた。
「冗談じゃないわ!
あたしは自分を売ったりはしないの!
だいたい、馴れ馴れしいのよさっきから!
あたしには王子がいるんだから、これ以上あたしに触らないで!」
あたしの勢いに押されて呆然と立ち尽くす倉本さんを睨みつけて、あたしは支店長室を飛び出た。
ったく!
ふざけるのもいい加減にして!