アフタヌーンメロドラマチック
帰り道も会話もなく

鞄の中の刹那へのプレゼントを渡せないでいた。


「ここで良いよ。ありがとう」

「おう…。交流会頑張れよ」

「うん。良い夏休みを」

「9月になったら神社の祭行こう」

「無理しないで。お姉さんと行きなよ」

そして

「誕生日おめでとう」

そう言ってオレにキレイにラッピングされた包みをよこしてきた。

オレの誕生日は今日じゃない。

9月13日だ。

それは刹那も知っているはずなのに。

今、これを寄越すってことは

それを意味することは

怖くて

どうしても聞けなかった。

オレが分かったのは

取り戻せると思っていたものは

刹那の中ではとっくにその時期は過ぎていたということだけだった。
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