アフタヌーンメロドラマチック
風邪をひいたと返信すると

「一緒にいてやれないけど、あったかくしてろよ」

家族じゃないと一緒にいてくれないんだ。

緩んだ涙腺が一気に冷めた。

血の繋がりってそんなに大切なんだろうか?

私って何?

誰とも繋がっていない、私に価値なんてあるんだろうか?

痛み出した頭では何を考えても暗い方に落ちていく。

考えるのを止めて、私は目を閉じた。



目を覚ますと人の気配を感じた。

「目が覚めたか?」

「秀一?」

同じクラスの黒崎秀一がいた。

秀一は小学校の頃、一緒だったけど中学の時に私立に行ってしまった。

高校になって再開した時、記憶の中の秀一と同じで目つきが悪くてすぐに分かった。

「何?勝手に入ってんの?」

「管理人さんに入れてもらった。風邪ひいてる時に一人じゃ心まで弱っちまう。母ちゃんがおかゆとりんごと湯たんぽ持ってけって。あと、姉ちゃんのは…治ってからみてくれ」
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