これが本当の大恋愛
腕時計を見ると午後2時半を示していた。


「はぁ……」

思わず溜め息が出た。


まだ気持ち悪い。


「班長なにやってんの?」

顔を上げると、そこには意外な奴が居た。


「大樹こそ。集合時間まで、まだ1時間以上あるのに」

「俺は翔也とはぐれちまって。ここに来れば会えるかもって思ってさ」

「ふ〜ん。あのさ、大樹……」

ダメだ。やっぱり、まだ気持ち悪い。


「なんだ?」

「悪いんだけど、ちょっと荷物見てて」

トイレに持って行ったら邪魔になりそうだし。


「あぁ、わかった」

大樹は、私がどこに行くのか聞かなかった。

こういう時、いつもなら、しつこいくらい聞いてくるのに。


なんだか大樹は、私がどこに行くのか、わかっているようだった。
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