にーにといっしょ
タクシーを拾ってもといた場所へと戻る。
人で溢れた街の片隅にある、私の居場所。

出会い喫茶は、16歳だった私にとって
帰るべき場所だった。


エレベーターで五階にあるオフィスへ。
またいつもの声が聞こえてくる。

『美女一名様ご入室〜!』

ここでは誰もが美女なんだって。

室内はマジックミラーになっていて
こちらから向こうは見えない。
お菓子とドリンクと漫画が常備された快適空間には
男からの指名を待つ
着飾った少女の化身がいつも数えるほどいる。

化粧を直したり
電話をしたり
露出をして誘惑するコもいるけど
私以上に指名の入る女はいない。

悪いけど、いつも私は一番人気だった。
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