好きなんて言わないよ
「なーんてな、ばーか。
嘘に決まってんだろ。
顔真っ赤だぞ。
りんごより真っ赤だぞ。」

達也はニヤニヤして、
あみの顔を覗いた。
そこにはいつも言い返す
あみの顔はなかった。




「…最低!もういい。」

あみは達也をおいて走って家を目指した。

「ちょっ!あみ!
りんご、どーすんだよ!」

「一人で食べてろ。馬鹿っ!」


あみの目には涙がたまってて、
まわりの景色も達也の姿も滲んでいた。

「あみ!」

達也の叫ぶ声も、むなしく
あみは達也に背を向けて
去っていった。


“ばかばかばか!
最低、達也なんかもう口きかない。
嬉しかったのに。
達也に言われて
すっごく嬉しかったのに”
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