好きなんて言わないよ
湯舟に浸かりながら、
あみはまた泣いた。

“どうして怒っちゃったんだろ。
いつもなら言い返すのに。
馬鹿にされるのは、
いつものことだし。
結局嘘だったけど
綺麗って言ってくれたことが
すごくすごく嬉しかった。
私、達也のこと好きなのかな?”


その頃、達也は
あみの家の前にいて
インターホンを鳴らすことに
躊躇していた。

“あいつ、泣いてたな。
どうしよ。謝らねぇと…”

いつも言い返してくるあみに
泣かれた達也は
アタフタしていた。

あみにどう言って謝ればいいか
わからないまま
達也は勇気を出して
インターホンを押した。
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