好きなんて言わないよ
ホームに電車が到着して
ドアが開いた。
達也とあみが乗り込んだ後、
駅に急いで向かってくる二人がいた。

村に住む唯一の中学生二人、
哲治と梨華だ。

中学校はあみ達の
降りる駅より二つ前。
朝はこの電車に乗らなければ、
次の電車は約2時間後。
逃せば遅刻だ。

息を切らして二人は乗り込んだ。

「哲治、梨華!おっせーな。危うく遅刻になるとこだぞ」

達也が哲治達に声をかける。

「だって梨華の支度がおせぇんだよ。」

梨華はごめんごめんと
笑いながら哲治に謝った。

「仲良しだねぇ、
てっちゃん、梨華ちゃんは。」

「夫婦か、おまえら。
ん?夫婦か?そうなのか?」

あみと達也は二人をひやかす。

「やめてよ、あみちゃん、達也くん。
そんなんじゃないから。


梨華が照れて答えた。
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