サッカー馬鹿に恋
「満紅、水!」
『あ、はい~!』
練習中の先輩に呼ばれ、あたしは先輩に水を持っていった。
『どうぞ!』
「あ、サンキュー」
さすが。
3年の先輩なだけあって身長も高い。
首筋を伝う汗がまた少し色っぽい。
「じゃ、練習戻る!水サンキュー」
『頑張ってください!』
先輩は片手をあげて、返事を返してくれた。
「そういえば満紅ちゃん!」
智帆先輩のいきなり思いついたと言わんばかりの声にあたしは、“はい!”と大きく返事をした。
「新人戦が2週間後にあるみたい」
それって…―
『あ、葵は出れますか!?』
「メンバーに入ればね。ただ今年は人数が多いから難しいかも―…」
『…そうなんですか』
…―とはいいつつも、あたしは心底絶対に葵なら大丈夫と余裕を咬ましていた。
だって葵は中学のとき、うちの学校ではすごく上手くて、チームの司令塔だった。
1年の時は、3年の先輩をも抜いちゃう上手さだったんだから。