ドリーム・キャッチャー~はじめのいっぽ~

星稜高等学校校門前―――。


今はAM5:20。


まだ辺りは薄暗く、桜が咲くには寒い4月の朝。


肩につくくらいの少し茶色がかった髪色の女子高生が1人、閉まったままの柵に肩をあずけて周りを見回している。


彼女の名前は水沢 桜。(みずさわ さくら)


2年前、騒がしく入学した5人の中の1人。


男ばかりの幼なじみの中にいたせいか、気が強く女の子に頼られる性格。


頭は悪く、運動も普通にできるくらい。


特徴といえば、身長164センチのスラッとした容姿で、胸が大きいというくらいの普通の女子高生。


ブラスバンド部の桜はこんな朝早く学校へ来たことがなかった。


朝練も、1時限目の1時間前くらいに集まるくらい。


早く来て誰もいないこの校門前を見渡すと、今まで気付かなかった景色がある。


学園を囲む木はこんな種類があったんだとか、校門を入ったところのモニュメントはあんなに色が落ちていたんだとかと、桜は感じていた。


それから、今日から入る予定の3年の教室を柵越しにぼーっと見ていた。


もう3年生…。


あっという間だなぁと、桜は少し寂しい気持ちになっていた。
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