ドリーム・キャッチャー~はじめのいっぽ~
(もうああやってバカできないのかぁ…)


一人寂しく回想に浸っていると、


「…桜?どうした?こんな時間に」


後ろからよく聞く声がした。


振り返ると、ブロンドの髪の長身の男子生徒が立っていた。


「…玲緒」


彼の名前は、萩原 玲緒(はぎわら れお)。


幼なじみの一人で、桜とは小学校一年生に出会った。


母親がイギリス人というハーフ。


バスケ部エースで、スポーツがズバ抜けてできるが、勉強がひどくできない極端な性格。


顔は男前で性格も良く同性からも好かれるモテぶり。


「めっずらしいなあ。何でこんな早いの?」


ちょっと膨れて返す桜。


「別にっ。バスケバカは今日もこんな早くから朝練?」


「そうっすよ。それしか今ないからな」


笑いながら真剣な表情になる玲緒を、チラッと横目で見る。


「本当に好きだねバスケ。ちょっとはさぁ、彼女でもつくれば?」


「今はインターハイに集中すんだよっ」


「ずっといないくせに」


桜の言葉に興味を示さず、柵を越えようと足を掛けよじ登る玲緒。


「…何で私がここにいるか…わかってる?」


「……。」
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