ドリーム・キャッチャー~はじめのいっぽ~
柵の上と下で見つめ合う二人。


両方の眉の端を下げ、困った表情で答える。


「…桜、俺はお前の気持ちを受け止められない…。」


「玲緒…」


目を見開いてショックを隠せない顔で見上げる。


「いいから早く降りてっ」


と、急に顔と声がもとに戻り柵を両手でガンガン揺り始める桜。


「おい、ちょっとはノレよーっ。」


「バァカ。まだ入っちゃダメなの!」


さっきより激しく揺らす桜。


玲緒ははいはい、とそこから飛び降りる。


「わかったよ。みんなそろそろ来るし、待つか」


門の横の石で固められた花壇の縁に座る玲緒。


「…えっ?」


桜のとぼけ顔を下から見上げる。


「最近5人揃うことないもんなあ」


玲緒はわかっていた。


桜がこんな時間にここにいる理由を。


桜は微笑んで玲緒を見て、隣に座った。


「…昔はよく遊んだよねっ。キャンプとか親連れてみんなで行ったりさあ」


「ああ、毎年夏休みに行ったよな。嵐に川落とされて、びちょびちょになりながら泣き叫んだの覚えてるか?」


「覚えてるよー。今でも恨んでんだからねっ」


「あの後お前、俺を落とそうとしたんだぞ?」
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