ドリーム・キャッチャー~はじめのいっぽ~
「ざんねーん。それは覚えてないわぁ。」


異性を感じさせない、本当に仲の良い友達同士のように、桜と玲緒は自然に笑い合っていた。


「…あのときはみんな一緒だったね。私が女なんて関係なしに、兄弟みたいに。」


視線を少し落として、桜が呟く。


「そうだな。女扱いしなくても、やっぱり態度に違いは出てくるわな。」


「……」


ははっと、桜は少し照れ笑いをした。


「別にっ、こんな話するつもりじゃなかったのに。どうでもいっか」


桜が話を切ろうとそう言い放って上を見た。


「そうそう。心配すんな!誰もお前を女として見てねぇからっ」


玲緒は笑うと同時に桜に睨まれた。


「そこまて言うかぁ?」


「…じょーだんじょーだん」


玲緒は居心地悪そうに笑いながら目を桜からそらした。


……と、カツカツと近くてハイヒールが歩いてくる。


覚えのある二人は、その音の方に注目した。


「…ぁね、嵐くん。今夜は旦那が帰って来るから、入れてあげれないの」


「うん、わかった。今日は他で泊まるよ」


大人のエロフェロモン全開の女と、男子高校生のいけない会話が聞こえてきた。
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