__あなたに恋して__
「かーなでっっ♪♪」
元気で明るすぎる声に振り返れば
片手にビニール袋をにぎって軽くはしってこっちにくる梨花の姿
「あっ!梨花ー!」
「ここにいたんだー!さっき病院のとこ行ったのに奏いないからびっくりしちゃったよー!」
ニコニコして言う梨花。
「ごめんごめん。歩けるようになったから・・・さっ」
さっきの人が気になってもう1度視線を戻すと・・・
「あっ・・・いなくなってる・・・」
あの人はいなくなっていた。
「ん?ダレがいないの??」
「えっ?いや・・ううん。何でもないよ」
梨花ゎ不思議そうな顔をして「ふーん」と呟いた。
「それよりさっ!学校は?まだ終わってないでしょ??」
「うん。でも昼休みだから外でてきても大丈夫だし♪」
えぇ?!大丈夫じゃなくない??
「いやいや・・・昼休み短いし・・・」
「もー!いいのっっ!!!すこしくらいサボっても♪」
そう言ってビニール袋に手を突っ込む梨花
「これ食べよ?森坂パンの新作☆★」
「へー!おいしそう!」
梨花の手に握られているパンを受け取り袋を開ける。
すると
梨花のブレザーのポケットからケータイのバイプ音が聞こえてきた。
梨花は慣れた手つきでケータイをいじりはじめる。
「えぇ?!ヤバイっ!!5時限目加藤らしい!!絶対怒られるッ!!」
慌てたように梨花は自分のぶんのパンをビニール袋に戻すと
「ごめんっ!加藤ゎさすがにキレるとメンドイから帰るねッ!!」と言って顔の前に両手をあわせた。
「うんっ!急げっ!わざわざありがとねっ!」
あたしは焦る梨花の背中を軽く押し出した。
「ごめん!学校終わったらまた来るからッ!!」
梨花はそう言って走り出した。
「う・・・うんっ!!」