夏雨シロップ。
思い出すのは、今日のような静かなあの雨の日...
「おーっ園部じゃん!!久しぶりー♪」
あの頃と変わらず長内は
明るく話しかけてくる。
変わってないな、と一目瞭然でわかった。
でも...まず、私が怖いのは、長内じゃなくて...
「...ッたし、帰る!!」
真澄と長内の声を無視して出来るだけ早く、早く、
傘もささず雨の中を走った。
「...ハァ...は」
...なんで、田辺くんがいるの?
......なんで、
会っちゃうのよ...
「やっぱり、雨の日は
キライ...」
私はしとしと、と振り付ける雨に、
濡れながらも昨日のことのようにあの日のことを思い出していた。