心を込めてあなたに嘘を
「ただいま~」
45階にある自分の部屋に
入りながら呟く。
ここまではいつもと同じ。
でも違うのは、
部屋に電気が付いている。
確かに朝、電気を消して
家を出たはずだ。
あまり物事に
感情的にならないあたしでも、さすがに怖くなった。

ガタガタ

部屋の奥から物音が聞こえた。このマンションは高級って
だけあってセキュリティーも
ちゃんとしてある。
今まで泥棒が入ったなんて話
聞いたことない。

あたしは1度外に出て、
助けを呼びに行こうとした。
すると、
「有山さん?」
え?
今誰かあたしの名前呼んだ?
気のせいだよね。
このマンションには
知り合いどころか、喋った事のある人だっていない。
でも、
「有山さん?」
今度は、はっきりと聞こえた。しかもあたしの部屋の中から。どうやら相手は泥棒では
ないらしい。
そうわかったら
少しホッとした。
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