君に愛の唄を



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「こな……心菜!」


「え?」



呼ばれた声にハッとして前をみると心配そうな表情をしたお父さんの姿があった。


あぁ、そうだ今日はレコーディングの日なんだ。



「大丈夫か?…別の日にする?」


「今日がいい!大丈夫だから…」



なんか最近ずっとボーッとしてる。


…蓮のせいだ。


あー!!もう。

全然集中できないんですけど。



「心菜ちゃん今日調子悪いね」


「すいません…」



さっきから失敗ばかり。
もう、自分が嫌になる……



「心菜ちゃん、気分転換しておいで?外の空気吸うのもいいかも」


「はい…ちょっと行って来ます」



私はレコーディングスタジオから出て、ため息をもらした。


気を使わせちゃった。


外の空気を吸おうかな…


そう歩き出した時。



──ドンッ…



誰かにぶつかってしまった私は勢いよく転んでしりもちをついた。


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