君に愛の唄を



頭をなにか硬いもので叩かれたかのよな衝撃が私を襲った。


胸も変なドキドキがあって気持ち悪い。



「…心菜…?」



名前を呼ばれ、私は自然に下を向いていたことに気づいた。


見上げた先には愛しい人が立っていた。

……女の子と二人で。



今は離れているが、さっき私が見た時は二人は抱き合っていた。



そうか…

好きなのは私だけ。


蓮は私なんか好きじゃなかったんだね。


勝手に舞い上がって
勝手に両想いだと思って
勝手に照れてさ
勝手に嬉しくなって


……馬鹿みたい。


やっと蓮が好きだと気づけたのに。


今日、蓮に私"も"好きって言おうと思ってたのに。

私"だけが"蓮を好きだったんだ。



「なんか、ごめんね!」



これが精一杯だよ。

もうこの場に立っていることすらキツイ。


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