君に愛の唄を
「心菜ぁー!!」
その私を呼ぶ声に体をビクッと跳ねさせたのは私と陸だった。
姿を見なくても誰だかわかる。
……蓮。
「心菜!!」
蓮の姿が一瞬見えたかと思うとまた一瞬にして見えなくなった。
陸がブランコに座る私の前に立ちはだかったからだ。
「何で兄貴と心菜が一緒にいるんだよ…」
「お前には関係ない」
…すごく空気が悪い。
二人の真剣さが、空気を険悪ムードにさせていた。
そして、相変わらず私の視界には陸の背中だけが映っていた。
「なんだよそれ……どけよ」
「無理だ」
陸の言葉はいつもより淡々としていて、なんだか怖かった。
陸、怒ってる?