君に愛の唄を



私は陸の後ろでどうすればいいのかわからなくて、ただ二人の会話を聞いていた。



「いいからどけよ」



蓮は無理やり陸を退かそうとしたが陸は簡単に蓮を突き飛ばした。


ちょ……やり過ぎじゃ…



「なにすんだよ!」


「…帰れ。お前みたいなクズに心菜は会わせられない」



陸?
言い過ぎだよ…

そんな言い方したら蓮がキレちゃ…



──ドコッ…



時すでに遅し…

蓮は陸の頬を強く殴っていた。



「陸!!大丈夫?!」



私は倒れ込んだ陸の傍に寄った。

そして、陸は口から"ペッ"と血を吐き出すと私に「大丈夫だから…」と笑いかけてくれた。


私はそれに少しだけ安心した。



「そうかよ…もういい…」



蓮は意味深な言葉を吐き捨てると私と陸に背を向け歩き出した。


蓮…!!



「待ってよ!」



私は蓮の腕をつかんだ。
しかし、蓮に簡単にふりほどかれてしまった。

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