君に愛の唄を


周りとの空気との温度差を感じながら、なんとなく感じた“断らなきゃ”という思い。



「あの、ご…」



──キンコンカンコン…


なんというバットタイミングな…



「返事はいつでもいいから…じゃあ」



爽やかスマイルを見せた隣のクラスの男の子。


気づけば、あんなに騒がしかった廊下が、みんなが一斉に教室に帰って行ったことで静かになった。



「こーら、中田も教室に入らんか」



そう数学の新米教師、浜先生に教科書で頭を叩かれた。



「はい……」


「うわ!珍しく中田が素直だ」



あの男の子って誰だっけ?


私はいろんなことを考えながら静かに教室に入った。


その時、不意に蓮の視線に気がついた。


──ドクンッ…



「え……?」



蓮に冷たく視線をずらされた。


怒ってる……?


胸がズキズキと痛んだ。
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