君に愛の唄を
唇と唇が離れたと同時に私は閉じていた目をゆっくりと開けた。
キスの甘い余韻が二人を包んでいた。
「もう、できねー」
蓮は私に背を向けて言った。
蓮と、
蓮と……
蓮とファーストキス!
しちゃったよ。
しちゃったよ。
しちゃったよ。
「ファーストキス…」
「え!?」
「今の…、ファーストキス…だったり?」
そりゃ、蓮はあの有名女優と済ませちゃったかもしれないけど…
やだ…
嫌なこと思い出しちゃったじゃない。
蓮と女優のキスシーン見たくなくて、あのドラマ見てないんだから。
「あー…今のファーストキスじゃねーよ?」
「蓮は、でしょ?私はファーストキス…」
「だから、お前も俺も今のファーストキスじゃねぇよ?」
え?