君に愛の唄を
しばらく歩くと久しぶりに陸の家に着いた。
陸と奈々さんは結婚した後、陸の家に二人で住んでいた。
「ただいまー」
「おじゃましまーす」
陸に続いて私は言った。
奥からバタバタと足音が聞こえてくる。
それは、次第に近づいてくる。
「おかえりー……あら、蓮くんに心菜ちゃん!いらっしゃい」
私と蓮を見るなり奈々さんはパァっと花が咲くように笑顔になった。
私はペコッと頭を下げた。
良かった…
正直、気まずくなっちゃうんじゃ…
って心配だったけど、心配いらなかったみたいだね。
ホッとした。
「ささっ、上がって上がって!」
私は再び「おじゃまします」と靴を脱いで家の中に入った。
前来た時と雰囲気が違う。
幸せな雰囲気がある…
きっと、陸、幸せなんだ。