君に愛の唄を
それにしても、アノ水沢蓮とココロが人気を張り合っていたなんて全く知らなかった。
水沢蓮はずっと私の憧れだったから。
そんな人と張り合うなんて……
正直、光栄だ。
「私は蓮の方が凄いと思うけどなぁ…」
「知り合いに二人も有名人がいるなんて!!」
奈々さんはすっかりテンションが上がってしまったようだ。
「あの、奈々さん。このことはくれぐれも秘密でお願いします…」
「もう、もちろんよ!心配しないで!!」
心配だ…
とてつもなく心配だよ。
奈々さんは「あら夕飯準備しなくちゃ♪」とキッチンに行ってしまった。
「ごめんな…?」
弱々しい蓮の声。
「気にしてないよ。よ~し、水沢蓮には負けないようにしなきゃね!」
うん、目標は高くしなきゃね!
歌うことは私の仕事じゃない。
私の幸せなんだ。